「神戸六甲ミーツ・アート」は、毎年8月下旬~11月下旬にかけて神戸・六甲山上で開催される現代アートの芸術祭です。山の上までのアクセス、服装やおすすめスポットまで、芸術祭の作品を効率的かつ満足に鑑賞する方法をお伝えします。
-目次-
1. 大阪から約1時間。神戸にある「六甲山」とは?
兵庫県南東部、神戸市・芦屋市・西宮市・宝塚市にまたがる大小の山々を含んだ地域を六甲山系と呼びます。その六甲山系の最高峰が標高931mある「六甲山」です。都市部の近郊でありながら豊かな自然が広がり、自然環境を利用した観光体験ができることが最大の魅力です。
六甲山についてさらに詳しく知りたい方はこちら
六甲山は、神戸三宮からも、大阪梅田からも、アクセスが便利です。阪急電鉄六甲駅、JR六甲道駅、阪神電気鉄道御影駅のいずれかで降り、駅前から神戸市バス「16」系統または「106」系統に乗り、六甲山の玄関口「六甲ケーブル下」駅へ。六甲ケーブルで山上まではわずか10分です。
六甲山の近くには「日本三名泉」の1つ、有馬温泉がありますので、六甲山訪問の前後に温泉観光を組み込む行程がおすすめです。アクセスには、会場の1つである「六甲有馬ロープウェー」が利用できます。
2. 「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」とは?
「神戸六甲ミーツ・アート」は、神戸・六甲山上に展示されるアート作品を、ハイキング気分で周遊しながら楽しむ現代アートの芸術祭です。
2010年からこれまでに、延べ520組以上のアーティストが参加しました。 2024年、15回目の開催にあたり、「神戸六甲ミーツ・アート芸術散歩2024 beyond」として新しく生まれ変わりました。今年のテーマは、「新しい視界 Find new perspectives.」です。
情報が目まぐるしく行き交う現在、私たちには提示された既存の視点で物事を判断し結論を急ぐ傾向があるようです。
いつもの立ち位置から歩を進め山を登り森を抜けると眼下に新しい景色が広がるように、様々な表現手法で制作された現代アートは私たちの視界を広げる役割を果たしています。
日常を少し離れ六甲山の魅力に触れながら旅をするように、様々な価値観と出会う芸術祭、そうした場をアーティストとともに生み出すことが私たちの願いです。
会期 :2024年8月24日(土)〜11月24日(日)
開催時間 : 10:00-17:00 (会場により一部異なる)
※会期中無休。ただし六甲山サイレンスリゾートのみ8月~10月の毎週月曜休業(月曜・祝日の場合は火曜に振替休日)
1. 出展アーティストの充実
過去最多となる招待・公募を合わせ61組のアーティストの作品を展示しています。国内外から幅広い視点で活動しているアーティストの作品をご紹介します。
2. 芸術祭の象徴となる拠点エリアの充実
2023年にROKKO森の音ミュージアムに新設した野外アートゾーンをさらに拡充し、会期外でも四季を通じてアート作品を鑑賞できる場を充実させます。
3. トレイルエリアの増設
山中の散策路沿いに作品を展示するトレイルエリアをさらに広げ、アート鑑賞の楽しさとともに六甲山の新たな魅力にも出会えます。
4. こどもたちがアートに触れ合える機会の創出
ワークショップ等を通じて自然の中で子どもたちが現代アートに触れられる機会を増やし、次世代の文化芸術の担い手や支え手を育てていきます。
「神戸六甲ミーツ・アート」に行ってみたいという方は、作品鑑賞パスポートやお得な乗車券を購入できます。
作品鑑賞パスポートを購入すると、4つの有料施設(ROKKO森の音ミュージアム・六甲高山植物園・風の教会エリア・トレイルエリア)に各施設でチケットを買うよりもお得に入場ができます。作品鑑賞パスポートは、六甲山上駅構内ショップ737 六甲遊山案内処でも購入可能です。
●大人(13歳中学生以上)3,000円
●小人(4歳~12歳小学生)1,200円
9月21日(土)〜11月24日(日・祝)の土日祝は、ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園で「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」というライトアップイベントが開催されます。ナイトパス付は料金が異なります。
●大人(13歳中学生以上)4,000円
●小人(4歳~12歳小学生)1,700円
また、乗車券でおすすめしたいのが、六甲ケーブルと六甲山上バスの乗車券がセットになった表六甲周遊乗車券です。各施設を周るためバスの乗り降りが多くなりますので、こちらのチケットを買っておけば、小銭不要で何度も乗り降りができ、料金もとってもお得です。六甲ケーブル下駅でしか購入できませんので、買い忘れがないように気を付けましょう。
●大人(13歳以上) 1,500円
●小人(6歳~12歳) 750 円
※10/1より大人1800円、小人900円に料金改定します。
このほか、神戸市バス+ケーブル+六甲山上バスがセットで1900円のお得な神戸六甲山ツーリストパスもあります。
3. 六甲山上の施設の周り方
山上の各施設をつなぐ「六甲山上バス」が運行しています。バスの時刻表は各バス停のほか、現地で配布されているMAPにも記載があります。本数が多くないエリアもありますので、バスの時刻をチェックして滞在時間を決めることをおすすめします。バスの時間を考えるのが大変だという方は、モデルコースを参考に周ってみてください。
山上バスはICカードの利用ができません。小銭が必要となりますので、面倒だなという方は「六甲山上バス1DAYチケット」の購入をおすすめします。六甲ケーブル山上駅で購入が可能です。
●大人(13歳以上) 500円
●小人(6歳~12歳)250円
※10/1より大人800円、小人400円に料金改定します。
4. おすすめの服装と持ち物
六甲山上は麓より約5度涼しいです。暑い8月から9月上旬は大丈夫ですが、9月中旬以降は羽織ものを1枚持っていると安心ですし、山の天候は変わりやすいため、脱ぎ着しやすい服装をおすすめします。また、自然の中での鑑賞となるため、蜂や虫に出会うこともあります。蜂が好む黒い服装は避けていくほうが無難です。
また、トレイルエリアは林道を歩き、各施設内も坂道や歩きづらい道が一部ありますので、スニーカー等の歩きやすいお靴でお越しください。かばんも両手を開けることができるリュック等が楽です。
5. 各エリアのおすすめ作品と所要時間
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondの9つの会場についてご紹介します。 筆者の特におすすめの会場は、(4) ROKKO森の音ミュージアム、(5) 六甲高山植物園、(9) 風の教会エリアです。
ぜひ参考にしてお気に入りの会場を巡ってみてください。
(1) 六甲ケーブル (六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台)
六甲ケーブル下駅で芸術祭にやってくるお客様をお出迎えするように展示されているのは、周 逸喬≪赤と緑の行き違い≫です。
鑑賞時間の目安:5~10分(ケーブルの待ち時間で鑑賞できます)
(2) 兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)
こちらのエリアには2つの作品が展示されていて、こちらの作品は倉富二 達広≪六甲の年輪を泳ぐ虎≫です。全長10メートル、六甲山系の形を模した作品です。2か所ある台からみると、虎モチーフの年輪の全体像を見渡すことができます。
鑑賞時間の目安:15~20分
(3) 六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)
作品が展示されているのは、本館から道を隔てたレストラン「空のダイニング」の店内です。作品鑑賞のみの入店も可能ですが、せっかくの機会ですので、作品がある空間でお食事をとるのもおすすめです。
鑑賞時間の目安:20分
(4) ROKKO森の音ミュージアム
「SIKIガーデン~音の散策路~」には、2024年のビジュアルに選ばれたいくら まりえ≪おいで おいで≫が展示されています。揺れる布の上に描く作品がいくら まりえさんの特徴です。六甲山の自然の中で風に揺れています。
こちらの作品は、髙橋 瑠璃≪2人の秘密の間を過ごす≫です。地面にもたくさんの作品が埋められており、紫陽花をモチーフとされています。友人にお花は目が合うから苦手だという方がいるそうで、その方には紫陽花がどう見えているのかと考えながら作ったそうです。たくさんの作品が足元にあるので、歩きながらぜひ探してみてください。
また、SIKIガーデン奥の「野外アートゾーン」には、写真の船井美佐≪森を覗く 山の穴≫ など、長期展示のアート作品8つが展示されています。
※展示期間は作品により異なります。
このほか、ミュージアム内を点在するように作品があり、ハンモックエリアやツリーハウス等、作品以外にも六甲山の自然を楽しめる場所がたくさんあります。建物3階にも作品が展示されています。
鑑賞時間の目安:45~90分
単館券:大人1,500円、小人750円
(5) 六甲高山植物園
園内入ってすぐ、ショップ アルピコラの壁に展示されているのは、2羽の雉。田中 優菜≪雉は鳴かずにいられない≫です。六甲山は雉が出没するのですが、高山植物園に現れることもあります。そんな雉たちにも見てもらいたいと、染色作品にしては珍しく半屋外に展示されています。どちらの雉も胸のあたりをみると、六甲山からみた有馬方面と三宮方面の景色を表現されています。
こちらは生田目 礼一≪『ヒカリ島』~夜光植物”UkarukuPa”燐光実験区~≫です。未来の植物として奇形にこだわって制作されており、内側に蛍光塗料を塗られているので、夜はブラックライトに照らされて光ります。昼だけではなく、夜にもぜひ訪れたい作品です。
HAFEN 本田耕≪Wind of Plants Hill≫です。六甲山の環境が最大限に楽しめる休憩所にしようと思って制作されたそうです。中にはベンチがあり、六甲山の心地よさを体感できます。
この他にも作品がありますので、高山植物園の季節の草花を楽しみながら園内を散策してみてください。
鑑賞時間の目安:40~60分
単館券:大人900円、小人450円
(6) トレイルエリア
2023年から新設されたトレイルエリアは、自然の中を徒歩で作品を見ながら歩いていくエリアです。今年エリアは拡大し、六甲山の自然とアートを存分に楽しめるエリアとしてパワーアップしています。途中、お手洗いがありませんので事前に済ませて、飲み物も準備してからエリアへ入りましょう。街灯が少ないエリアのため、早い時間に周ってしまうことをおすすめします。
近藤尚≪わたしのお墓≫です。家をお墓として組み立てており、家の中には作者が生活でみかけるものが置かれ、普段聞いているラジオが流されています。1つ1つのおうちを覗いてみてください。
ROKKO森の音ミュージアムに入る手前、駐車場横の新池では、昨年から継続して川俣 正≪六甲の浮橋とテラス エクステンドブリッジ アンド テラス≫が展示されています。今年は沈下橋と小さなテラスが新設されました。トレイルエリアを踏破する自信がない方でも、こちらの作品は駐車場から歩いて1分ほどの場所にありますので、ご覧いただくことができます。
鑑賞時間の目安:60~140分(歩くスピードによって時間が異なります)
単館券(新池・バンノ山荘・ヤンセンアトリエ):大人700円、小人250円
(7) 六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅
六甲ガーデンテラスエリアから歩いて、約5分ほどの場所にあるのが六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅です。
2階に展示されているのは、葭村 太一≪四基の花≫です。こちらの作品は、ゴンドラ内の映像を見てから、外にある木彫作品を見てほしいと葭村さんがお話しされていました。
鑑賞時間の目安:10~15分
(8) 六甲ガーデンテラスエリア
六甲ガーデンテラスエリアは、レストランが3つ、昼食やお土産の買い物にも便利な拠点となっています。
神戸だけでなく、大阪まで見渡す眺望が魅力の見晴らしのテラスに展示されているのは、布施琳太郎≪ニューノーモン:新たな大地のための日時計≫です。オリジナルの日時計で、日によって浮かび上がるのはオリジナルの詩です。
鑑賞パスポートからは外れますが、自然体感展望台六甲枝垂れ「シダレミュージアム」も、ぜひ訪れていただきたいスポットです。
自然体感展望台六甲枝垂れ「シダレミュージアム」
●大人(13歳以上) 1,000円
●小人(4歳~12歳) 500円
鑑賞時間の目安:30分
(9) 風の教会エリア
絶対に見逃したくない作品の1つが、安藤忠雄建築 「風の教会」で展開される宮永愛子≪辻の音≫です。「風の教会」は、建築家安藤忠雄氏が設計を手がけた「水の教会」「光の教会」と並ぶ「教会三部作」の一つに数えられる教会です。
建物までのアプローチが素敵です。
ひんやりとした教会の中で、なるべくゆっくり路について思いを巡らせてほしい作品です。
他、近くにある六甲山芸術センターでは8作品、旧六甲スカイヴィラでは3作品、旧六甲スカイヴィラから少し下りたあじさいこみちに1作品の鑑賞ができます。
鑑賞時間の目安:90~120分
6. モデルルート
最後に、バスの乗り継ぎを考えるのが大変、行ってみたいけどアクセスがネックという方のために、山上のモデルルートをご案内します。
<START>
六甲ケーブル山上駅(12:35発)
↓
六甲ガーデンテラス(12:44着/13:55発)
ランチもこちらで済ませましょう。
↓
ミュージアム前(13:58着/15:00発)
↓
徒歩移動 約5分
↓
高山植物園(15:05着/16:03発)
お疲れの方は、Caféやハンモックでゆっくり過ごすのもおすすめです。
↓
風の教会(16:06着/16:46発)
9月21日〜11月24日の土日祝は、「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」を開催しているので、風の教会(17:09発)に乗車して、高山植物園に戻り、夜のイベントを楽しむこともおすすめです。
↓
六甲山上駅(16:50着)
六甲山上駅から六甲ケーブルにて、ケーブル下へ降りた後は、神戸市バスに乗り換えて阪急六甲駅へ。神戸三宮駅まで約10分、大阪梅田まで約30分です。
▼この記事もチェック▼
7. 食事場所のおすすめ
(1) 六甲山サイレンスリゾート 空のダイニング
大阪と神戸を一望できるダイニングです。ランチはコースが中心となりますので、ゆっくりとお時間がとれる方におすすめします。また、20時まで(最終入店時間は19時)営業をしていますので、観光後の夕食としても利用可能です。
(2) ROKKO森の音ミュージアム 森のCafé
ROKKO森の音ミュージアム内にあるカフェで、セミセルフ式のワンプレートランチやカフェメニューを提供しています。お外にも席がありますので、天気の良い日はテラス席で食べると気持ちが良いです。
写真手前:神戸ポークハンバーグ 1,630円(税込)
写真左奥:ラクレットチーズプレート 1,880円(税込)
写真右奥:淡路オニオンカレー 1,350円(税込)
他に、園内には360度透明の「SIKIドーム」を貸切でご利用いただけるランチ付きの予約プランもあります。ROKKO森の音ミュージアムでゆっくりと過ごしたい方にはおすすめのプランです。
SIKIドーム予約プランの詳細はこちら
(3) 六甲高山植物園 山小屋カフェエーデルワイス
六甲高山植物園には、出入口が2か所あり、山小屋カフェエーデルワイスは東口の近くにあります。植物園の木々を見下ろせるテラス席がおすすめです。
(4) 六甲ガーデンテラスエリア 六甲ビューパレス
セミセルフ形式レストランで、カレーライスやハンバーグ、シチューなどのカジュアルな洋食メニューが楽しめます。窓際のお席からは、神戸の街並みを見下ろすことができます。
(5) 六甲ガーデンテラスエリア 六甲山ジンギスカンパレス
日本人の方は、六甲山といえばジンギスカンという方も多いのではないでしょうか。古くからの六甲山名物です。ジンギスカンを食べながら、山からの景色を満喫しましょう。
(6) 六甲ガーデンテラスエリア グラニットカフェ
旬の食材を使ったシェフ特製の料理やスイーツを提供するカフェです。六甲山のはちみつ「やまみつ」を使用したカレーやハンバーグが味わえます。
写真左:六甲シャンピニオンと特製デミグラスソースのチーズハンバーグ(スープ・サラダ・ライスorパン付) 2,300円
写真中央:マロンラテ~六甲味噌キャラメルがけ~(ホットorアイス)800円
写真右:六甲山やまみつオムカレー(スープ・ドリンクバー付) 1,700円
※マロンラテは、8/24(土)~神戸六甲ミーツ・アート会期限定メニューです。
こちらも眺望はばっちりです。
食事ができる場所は多くはありませんので、土日祝のお昼時はいずれのレストランも混雑しています。時間をずらしたり、テイクアウトを利用したりして、上手に食事をとりましょう。
美しい六甲山の自然とともに楽しめる秋だけのイベントです。作品は毎年変わりますので、ぜひ毎年の秋のイベントとして訪れてみてください。