兵庫県の淡路島は、海と緑に囲まれた関西屈指の観光スポット。大阪や神戸からもアクセスが良く、海や山など様々な自然が楽しめる島です。淡路島は自然と観光スポットが融合した魅力的な場所です。今回は自然と調和した建築物が楽しめるスポットをご紹介します。
1.淡路夢舞台・あわじグリーン館
自然と共存する「淡路夢舞台」
人間が削った山に緑を取り戻すために。その想いを携え、山の斜面を活かして創られた広大な複合型リゾート施設「淡路夢舞台」。
建築家の安藤忠雄氏が、「訪れる人々に、水、風、光、陰、空、山、そして海など、日常見過ごしてしまいがちな自然の様相をどれだけ感じ取ってもらえるか」という考えのもと、“人と自然との共生”をコンセプトに設計した大規模な施設です。
山の傾斜に沿って階段状に100個の花壇を配した庭園「百段苑」。
A(アフリカ、中南米、オセアニア)、B(ユーラシア、北米)、C(アジア、日本)、D(テーマ)の4つのブロックで構成され、それぞれのコンセプトに則した季節の花々が咲き誇ります。遠くに目を向けると大パノラマの大阪湾が! キラキラと輝く青い海と色とりどりの草花が織りなす鮮やかなコントラストにきっと魅了されるはず。
淡路夢舞台の中心に位置する「円形フォーラム」。
直径約32m、高さ約11mの円空間で、なんといっても曲線の美しさが印象的です。円形に切り抜かれた空を見上げたり、壁沿いに渡らせたスロープを歩いてみたり、頂上の展望スペースから景色を眺めたり…と思い思いに楽しめます。
直径約50m、高さ約17mの巨大な空間「楕円フォーラム」。コンクリートの壁にはユニークな日時計が設置されています。
楕円フォーラムを挟む2本の長い回廊は、光と陰の対極的な空間美が特徴的。
海側に位置する「海回廊」は大阪湾を一望できる開放的な空間。
「海回廊」に対し、山側に位置する「山回廊」は、すりガラスで覆われた列柱廊(コロネード)となっています。
「百段苑」と「山回廊」の間で、ひときわ異彩を放つ「空庭」。
中央の柱を軸にシンメトリーに交差した階段に圧倒されるとともに、コンクリート壁に写る陰、壁や柱の間から見える空は日常で見るものとは違い、どこか神秘的な美しさを感じさせます。
大阪湾を望むようにすり鉢状に客席を配した「野外劇場」は、古代ギリシャの円形劇場を彷彿とさせます。
シンプルを極めた建築だからこそ、ダイレクトに伝わる自然のパワー。普段おざなりになりがちな自然を感じるひと時を、この壮大な「淡路夢舞台」で満喫してみては。
淡路島に誕生した世界最大級の温室「あわじグリーン館」で建築美を堪能
「淡路夢舞台」の敷地内にある「あわじグリーン館」は、日本最大級の温室型植物園です。2つの直方体をクロスさせたような斬新な佇まいの建物です。高さ約20m、全面ガラス張りの館内には自然光がたっぷりと降り注ぎ、開放感いっぱいの大空間となっています。
館内で見られる世界の珍しい植物や色鮮やかな植物、その種類はなんと約3,000もあるのだそう。
5つの展示室をメインに構成されていて、それぞれ異なる演出を回遊式で楽しむことができます。
乾燥地帯に育つサボテンや多肉植物を栽培展示している「みどりのちょうこく」。
熱帯・亜熱帯に生育する色彩豊かな植物を展示している「しきさいのにわ」。
日常で目にすることができる身近な植物を展示している「くらしのみどり」。
恐竜がいた時代をテーマにした「しんかのにわ」。
約2億年前に発見され、“生きた化石”と言われるジュラシックツリーも見ることができます。
植物を身近に感じられる演出を施した、親子で楽しめる花と緑のガーデン「にぎわいのにわ」。
高さ約8mにおよぶ成長する「ガーデンキャッスル」は、同施設のシンボル的存在です。
中央の庭には、子どもが遊べるキッズスペースが設けられています。
1階の植物展示を見て回ったあとは、2階のテラスへ。沖縄の植物や熱帯果樹が展示されているほか、植物に関する絵本や図鑑、ガーデニングの本なども陳列。テーブル席があるので、座って緑を眺めたり読書をしたりとゆったりとくつろぐことができます。
変化に富んだ空間の中で、多種多様なグリーンに癒やされる非日常体験をぜひ味わってみてください。
2. “蓮池”で魅せる淡路島の歴史ある寺「本福寺 水御堂」
「本福寺」は平安時代に創建されたと伝わる古い寺院で、1991年に「水御堂(みずみどう)」と呼ばれる本堂が安藤氏の設計によって新築されました。
境内をぐんぐん奥に進んだ先に、モダンなコンクリート壁が佇んでいます。
門をくぐり、カーブを描くコンクリート壁沿いに進んでいくと巨大な楕円形の池が出現。初夏には蓮の花が咲き、幻想的な景観が広がります。
遠景に緑を望む蓮池。この湖面を切り裂くように中央に水御堂へと通じる階段が設けられています。「水御堂」という名称は、蓮池が屋根となっていることから名付けられたのだそう。
階段を降りていきながら、立ち止まり振り返って見上げるコンクリート壁に切り取られた空。天気によっても変わる光の陰影が独特の雰囲気を演出します。
地下に降りるとそこは朱色に塗られた世界。格子から光が柔らかく差し込み、どこか夢幻的な空間になっています。
細い回廊を進むと、朱塗りの本堂が現れます。中央に鎮座する本尊は淡路市指定重要文化財の薬師如来像です。
夕方になると西日が差し込み、本尊の背後からまるで後光のように赤い光があふれます。極楽浄土をイメージしたその粋な演出は、兵庫県小野市にある国宝「浄土寺浄土堂」を参考にしたものだそう。
一般的な寺院とは一線を画す「本福寺」。“古刹×モダン”という一見すると相反するような掛け合わせにきっと心奪われるはずです。
3.自然と調和するアートなリゾートホテル「TOTOシーウィンド淡路」
淡路島東部の山の斜面に建つ、建築家 安藤忠雄氏が設計したリゾートホテル「TOTOシーウィンド淡路」。人と自然との調和を意識して造られたこのホテルでは、海と緑、そして建築美を心ゆくまで堪能できます。
正面玄関から中に入ると、淡路島出身の彫刻家によるユニークなアート作品が出迎えてくれます。
大階段を降りた先がロビーとなっていて、巨大窓に切り取られた美しい大阪湾に目を奪われます。壁一面の本棚には建築関係の書籍がたくさん並んでいるので、ソファに腰かけて海を眺めながら読書時間を楽しむのも素敵ですね。
建物のフロント部分を外から見ると、まるでアート作品のような佇まいです。
客室専用のエレベーター棟に繋がる渡り廊下も、海と空のパノラマを見渡せる絶景ポイント! 一度足を止めて、美しい水平線を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか?
客室は洋室・和室・メゾネットの3タイプ。全室に大開口の窓がついているので日当たりは抜群です。窓から見える緑に癒されながら気持ちよく過ごすことができます。
“青”を基調にしたレストランはオーシャンビュー!
レストランのテラス席では、爽やかな海風を感じながらのんびり一息…という贅沢な時間を過ごせます。
夏季限定のプールは同施設の人気スポット。青い海をバックにフォトジェニックな一枚を撮ってくださいね。
青々とした海と、豊かな緑。淡路島の雄大な自然と建築との調和はある種のアートと言えるでしょう。いつもとは一味違ったホテルステイを楽しんでみては。
LOCATION INFORMATION
住所
兵庫県淡路市里573-14[MAP]
アクセス
三宮バスターミナルから高速バス「津名港バスターミナル行き」に乗車。
津名港バスターミナル 下車 タクシー 15分
淡路島には、人と自然の調和が感じられる建築物が多く、観光をより楽しむことができるはずです。関西を訪れる際は、ぜひ淡路島まで足を伸ばしてくださいね!