安藤忠雄の建築美が堪能できる関西のおすすめスポット

2023/01/06
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コンクリート打ち放しの斬新な建築物で世界的に有名な安藤忠雄氏。出身が大阪ということもあり、関西には安藤氏が手掛けた建築が数多くあります。特徴的な建築デザインを楽しみながら、文化や芸術にも触れることができるスポットをご紹介します。

 

1.【神戸】兵庫県立美術館

2.【神戸】風の教会

3.【大阪】こども本の森 中之島

4.【京都】アサヒビール大山崎山荘美術館

5.【京都】京都府立陶板名画の庭

6.【姫路】姫路市立文学館

1.【神戸】兵庫県立美術館

01_andotadao_hyogokenbi(要クレジットJIRO FUJIWARA 南西外観)

JIRO FUJIWARA 南西外観

阪神・淡路大震災からの「文化の復興」のシンボルとして、2002年にオープン。「芸術の館」という愛称で親しまれ、国内外の近代彫刻や版画など、約10,000点におよぶ作品を所蔵しています。これら美術作品の展示だけでなく、シンプルながら巨大迷路のような構成で光の変化を演出した安藤氏設計の建物も見どころの一つ。様々な芸術の融合の場で、複雑多様な空間体験を味わうことができます。

 

落ち着いた雰囲気のエントランスホールを抜けると、打って変わって、自然光がふんだんに降り注ぐ展示室を囲むガラス張りの廻廊など、各所がそれぞれ陰影に富んだ表情で出迎えてくれます。

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地下1階から地上2階の屋外スペースまでつながり、各展示棟やギャラリー棟、そして海と山とをつなぎあわせる、美術館のシンボル「円形テラス」。打ち放しのコンクリートが美しいらせんを描き、光の陰影を生み出します。

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2019年には、安藤氏の建築を紹介する第2展示棟(Ando Gallery)がオープン。代表作「住吉の長屋」や「光の教会」などの建築模型の展示、国内外の様々なプロジェクトの紹介など、安藤氏の仕事を知るうえで外せないスポットとなっています。

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屋外スペースの3階にある、海に張り出したかのように見える展望スペース「海のデッキ」。安藤氏が米国の詩人・サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフにデザインした、大きな青りんごのオブジェが置かれています。

4階には、「山のデッキ」と「風のデッキ」もあります。また、1階のエントランスの反対側には、2階と3階の屋外エリアまで続く大きな階段があり、美術館を背に腰を下ろして、目の前に広がる海を見渡せます。

 

訪れる時間や季節によって様々に表情が変わり、迷うことも不便さも変化していくのが最大の魅力。そして、この美術館建築の仕掛けを見つける楽しさ!その時々でしか感じることのできない空間体験を味わいに、足を運んでみてはいかが。

LOCATION INFORMATION

Address

兵庫県神戸市中央区脇野浜海岸通り1-1-1 [MAP]

Access

阪神本線岩屋駅より徒歩8分

2.【神戸】風の教会

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安藤氏が設計を手がけた「教会三部作」の一つで、1986年に竣工した安藤氏にとっては最初の教会建築です。六甲山上にあり、自然に囲まれた爽快な環境から、「風の教会」と呼ばれています。ホテルのウエディングチャーチとして設計され運用されてきましたが、現在は非公開。毎年、夏の終わりから秋にかけて開催される現代アートのイベント『六甲ミーツ・アート芸術散歩』の期間中に一般公開されています。

 

礼拝堂は安藤建築の特徴でもあるコンクリート打ち放しの躯体に直方体の塔が乗せられ、壁と天井のすき間から差し込む光が、神聖で静謐な空間を作り出しています。設計の原点となっているのが、12〜13世紀に建設された南仏プロヴァンスの「ノートルダム・ド・セナンク修道院」。安藤氏が礼拝堂を訪れ、荒削りの石材の壁の小さな窓から差し込む光こそが空間演出の主役であると感銘を受けたことから、生み出されたものなのだそう。

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建物の中でも特徴的なのが、礼拝堂に続く40メートルの列柱回廊「コロネード」。青磁色のすりガラスでできています。「ノートルダム・ド・セナンク修道院」の中庭を囲む列柱回廊を、直線の形に展開したとのこと。吹き抜ける風とまわりの緑と建物が融合した幻想的な空間が広がります。

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六甲山の森の中にひっそりと佇む「風の教会」。光の陰影が美しい空間を演出し、非日常的な時間が流れる特別なスポットです。自然が奏でる音色に耳を傾け、吹き抜ける風を感じながら過ごしてみては。六甲山上からは神戸や大阪の街も一望できます。

 

教会は通常は非公開で、『六甲ミーツ・アート芸術散歩』会期中のみの公開となります。イベントの詳細については、HPをご確認ください。貴重な機会をお見逃しなく!

LOCATION INFORMATION

Address

兵庫県神戸市灘区六甲山町西谷山1878-78 [MAP]

Access

阪神本線御影駅から神戸市バス乗車
六甲ケーブル下で下車。
六甲ケーブルに乗って頂上へ。
六甲山上駅から徒歩20分。

3.【大阪】こども本の森 中之島

07_andotadao_kodomohonnomori(要クレジット伊東俊介)

©伊東俊介

「こどもたちに多様な本を手にとってもらい、無限の創造力や好奇心を育んでほしい。自発的に本の中の言葉や感情、アイデアに触れ、世界には自分と違う人や暮らしが在ることを知ってほしい」。そんな想いから、建築家の安藤忠雄氏が自ら設計、大阪市に寄贈し、2020年に中之島に誕生しました。日頃の運営は、市民や企業からの寄付によって成り立っています。

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入口テラスでひと際目を引く、巨大な青いりんごのオブジェ。米国の詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに、『挑戦心にあふれる青春のシンボルとして多くの人に触れてほしい』という安藤氏の願いが込められています。

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設計にあたって安藤氏が大事にしたのは、大阪の歴史と文化が息づく中之島という立地を十二分に生かすこと、そして子どもが主役の施設であること。堂島川に沿って立つ建物は、安藤建築の特徴でもあるコンクリート打ち放し。西隣には大阪市立東洋陶磁美術館、大阪市中央公会堂と文化・芸術施設が立ち並んでいます。

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館内は階段やブリッジ通路が張り巡らされた3層の吹き抜けで、まるで立体迷路のよう。すべての壁が木の本棚になっていて、まさに「本の森」に迷い込んで本を探すようなワクワク感のある造りになっています。コンクリート打ち放しの円筒空間の「休憩室」では、子どもたちの本への興味を喚起するような映像作品が上映されています。

11_andotadao_kodomohonnomori(要クレジット伊東俊介)

©伊東俊介

棚の上の方にディスプレイされている本は、同じものを閲覧用の低い棚にも配置。気になった本がすぐ手に取れるように工夫されています。また、家具はすべて木製で統一され、落ち着いた雰囲気に。

12_andotadao_kodomohonnomori(要クレジット伊東俊介)

©伊東俊介

本棚のあちこちに掲げられた「言葉の彫刻」。本の中から抽出した印象的な短文が、立体文字で空間に浮かび上がっています。本は手に取ってページをめくらないと、その世界に触れられないものですが、子どもたちが本棚の前を通り過ぎることもしばしば。そこで、その視界に言葉を滑り込ませて、一文が持つ魅力で本を読み始めるきっかけをつくりたい。ということから考えられた演出なのだそう。

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子どもはもちろんのこと、大人も本の魅力にどっぷりとはまれる「こども本の森」。水の都・大阪の川沿いの景観と安藤建築の融合、本の世界をたっぷり楽しめる施設です。
(施設利用は要事前予約。入館方法についてはこども本の森 中之島の公式HPを確認)

LOCATION INFORMATION

Address

大阪市北区中之島1-1-28 [MAP]

Access

大阪メトロ堺筋線北浜駅より徒歩5分

4.【京都】アサヒビール大山崎山荘美術館

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

実業家・加賀正太郎が別荘として、大正から昭和初期にかけて建設。時を経て荒廃寸前となるも、貴重な建築物と周囲の自然保護を求める声から、1996年に創建当時の姿に復元され、安藤忠雄氏設計の新棟を加え美術館として再生、開館しました。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

加賀正太郎設計の本館部分は大正時代に木造で建てられ、昭和初期に大幅に増築。本館では梁や柱の彫刻など、様々な手法が折衷的に取り入れられています。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

本館上棟部はイギリスのチューダー・ゴシック様式に特徴的な木骨を見せるハーフティンバー方式をとり入れ、鉄筋コンクリート造、屋根部分には鉄骨が組まれています。
2階のテラスからは、建設当時と変わらない木津、宇治、桂の三川が流れる壮大な風景が一望できます。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

安藤氏の設計により増設された地中館は、本館と通路で結ばれています。通路はコンクリート打ち放しで、上部四方と正面がガラス張り。周りの四季折々の景色が目に写り、建物と自然の調和を感じられます。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

地中館「地中の宝石箱」へ続く階段脇には、睡蓮が咲く小さな池があります。長い階段を下りた突き当りにある窓からは、その池がちょうど目線と同じ高さで望めます。建物が傾斜地にあるため、こういった工夫で建物の中からも外の景色を楽しめるのもポイントですね。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

安藤氏により「地中の宝石箱」と名づけられた地中館は、周囲の景観と調和を図るため、半地下構造の円柱形で設計。展示空間上部の屋根には植栽が施され、まわりの緑になじんだ造りになっています。

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写真提供:アサヒビール大山崎山荘美術館

2012年には安藤氏設計による新棟、山手館「夢の箱」が竣工。「地中の宝石箱」とは対象的に箱形で構成されています。直線的なコンクリートの建物が木々に埋もれるように配置され、地中館同様、上部に植栽を施すことで、自然との一体感が生みだされています。

 

新旧の建物と周辺環境が絶妙なバランスで共存し、新たに命を吹き込まれた山荘で安藤流の“再生”を感じてください。

LOCATION INFORMATION

Address

京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3 [MAP]

Access

阪急京都線大山崎駅より徒歩10分

5.【京都】京都府立陶板名画の庭

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写真提供:京都府立陶板名画の庭

屋外で鑑賞できる世界で初めての絵画庭園として、1994年に開館。名画の美しさをそのままに再現した丈夫な陶板画を屋外で展示する、安藤氏設計の施設です。庭園内には大小の滝や池による水辺の演出があり、見る場所や視点、天候などによって作品が雰囲気を変えます。

 

建物は3層構造で、ゆるやかなスロープで地上から地下2階へと降りて、下から順に鑑賞していきます。

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写真提供:京都府立陶板名画の庭

展示されているのは世界の名画、全8点。そのうち4点は1990年開催の「国際花と緑の博覧会」のために制作され、安藤氏設計のパビリオン「名画の庭」に展示されていたもの。それ以外の4点は、この施設のために制作されたものです。

 

ほぼ原寸大で高さ13メートルを超えるミケランジェロ作「最後の審判」は、回廊式の全フロアから鑑賞できます。

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写真提供:京都府立陶板名画の庭

空と水面に挟まれた、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。水に写り込むように設計されていて、水面で違った表情を見せる絵画もまた面白いものです。

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写真提供:京都府立陶板名画の庭

国宝「鳥獣人物戯画」の2倍拡大版。右から読んでいく長い巻物は、進行方向に沿って自然な流れで鑑賞できるように展示されています。

 

コンクリート壁の窓ごしに覗きながら観るゴッホやルノアールの作品は、絵画とはまた異なる雰囲気を感じられます。モネの「睡蓮・朝」は、その世界観を印象付けるように水中に展示され、上からのぞき込むように鑑賞するのもほかではない演出。光や水面のゆらめきの変化と共に絵画を楽しめるのは、陶板画ならでは。

 

安藤氏の設計による屋外の環境を活かした空間で、屋内の美術館とは違った感覚でアートに触れられるおすすめのスポットです。

LOCATION INFORMATION

Address

京都市左京区下鴨半木町[MAP]

Access

阪急京都線烏丸駅から、
京都市営地下鉄に乗り換えて北山駅へ。
そこから徒歩1分。

6.【姫路】姫路市立文学館

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世界文化遺産・国宝 姫路城の北西にある同館は、姫路を中心とした播磨ゆかりの作家や学者たちの資料の収集や研究など、あらゆる文学活動の拠点として1991年に設立されました。

「城を借景に回遊し文学と対話する空間として設計」としたという安藤氏のユニークな建物のデザインが古い町並みになじみ、また新しい風景を生み出しています。そして、設計のコンセプトの通り、館内からは「白鷺城」の愛称で親しまれる姫路城を望むことができ、建物の内外から姫路を感じられる特別な場所です。

 

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施設は3階建ての北館と2階建ての南館からなり、敷地内には40畳の和室と茶室を備えた大正期の日本家屋「望景亭」もあります。

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北館1階にある「姫路城歴史ものがたり回廊」では、姫路城と地域の物語や歴史を映像やグラフィックで紹介。弧を描く長い回廊に全26のエピソードが展示され、カーブに沿ってぐるりと鑑賞していきます。

同フロアには、播磨ゆかりの文人たちの残した印象的な言葉やその人生に触れられる「ことばの森」展示室、2階には姫路市生まれの哲学者・和辻哲郎氏のコーナーなどがあります。

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南館には、「司馬遼太郎記念室」やゆったりと過ごせるカフェなどがあります。

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外から見てガラス張りのこのスペースは、親子で楽しめる「よいこのへや」。サンルームのような明るくカラフルな空間になっています。ここでは靴を脱いで、絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりと、くつろぎながら過ごせます。タペストリーとモビールは、姫路の地名の由来にもなった「播磨国風土記」の物語をモチーフにしているのだそうです。

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まわりの自然に調和し、直線と曲線、光と影が融合した建物がたたずむ風景は、美しいアートのよう。時間帯によって、また見る方向や角度によって、様々な表情を見せる建築の魅力を感じてください。

LOCATION INFORMATION

Address

兵庫県姫路市山野井町84 [MAP]

Access

山陽電鉄線から神姫バス乗車
市之橋文学館前で下車。
そこから徒歩4分。

いかがでしたか?
建築を語るうえで、安藤忠雄氏は外せません。日本に旅行に来たら、観光とともに世界で評価されている安藤忠雄建築に触れてみてはいかがでしょうか?

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