世界文化遺産に登録されている清水寺や金閣寺、人気の観光スポット伏見稲荷大社をはじめ、歴史ある神社仏閣が多い京都。
訪日旅行者の方は、寺社でいただける御朱印や御朱印帳のことをご存知でしょうか?
今回は、オーソドックスなものからユニークにアレンジされたものまで、京都の神社仏閣の御朱印をピックアップしてご紹介!訪れる前にマナーなどもしっかりチェックして、参拝とともに御朱印を集めましょう。
御朱印とは
御朱印とは、神社仏閣へ参拝した証として授与される「神仏とのご縁の記録」のこと。
寺社名・本尊名・参拝日などの墨書きと朱色の印章で構成されるのが一般的で、神職や住職が一つひとつしたためてくれます。神社仏閣ごとに仕様が異なるうえ、季節や催事によってデザインが変わることも!字体や朱印の濃淡には書き手の味が出るので、一つとして同じものに出合えないところも魅力です。
ただし、御朱印はスタンプラリーやコレクションではないので、神仏へ敬意を払うことを忘れずに!
訪日旅行者は知っておきたい、御朱印のいただき方・マナー
御朱印をいただく際に心がけたいマナーがあります。訪日旅行者は事前にチェックしておきましょう。
1.御朱印帳を用意する
御朱印帳とは、御朱印専用の帳面のこと。手のひら大くらいの大きさで、蛇腹織りになっているものが主流です。
御朱印をいただく際に購入することができる神社仏閣が多いですが、御朱印帳の取り扱いがない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。文具店や雑貨店、インターネットでも販売されていて、多彩なデザインが展開されています。一冊で複数の御朱印を集められるので、長く大事にできるものを選んでくださいね。ノートやメモ帳に御朱印をいただくのはマナー違反になるのでご注意を。
2.参拝する
御朱印はあくまで参拝の証明書。きちんと参拝をしてから御朱印をいただきましょう。
3.御朱印代を納める
参拝を終えたら、授与所または納経所で御朱印をいただきます。
書いてもらいたいページを開いて御朱印帳を渡し、いただいたら御朱印代を納めてください。神職や住職が目の前で記帳してくれる場合(※)もあれば、予め和紙に書いておいた「書置き」を用意している場合もあります。御朱印帳を忘れた時は書置きをいただくことができるのでご安心ください。いただいた書置きは後で御朱印帳に貼っておくのをお忘れなく。
※記帳していただく場合でも、神社仏閣によっては番号札を渡されて順番待ちをする必要があるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
京都の有名な寺・神社の御朱印&御朱印帳
1.寺院が大事にする言葉をしたためた3つの御朱印「高台寺」
京都東山エリアを代表する「高台寺」。天下を極めた武将・豊臣秀吉の正室・ねねが秀吉の菩提を弔うため1606年に創建した寺院で、ねねの夫に対する敬愛の念が建物の随所に感じられます。敷地内には数々の重要文化財が残るほか、もみじと水面が美しい景色を織りなす広大な池泉回遊式庭園は圧巻。ご本尊のお釈迦様を祀っている「方丈」には、ねねのご位牌も安置されています。
高台寺のご本尊は御釈迦様であるため、御朱印では御釈迦様の慈悲を表す「佛心」を授与しています。 右上に「桐紋と豊太閤秀吉公・北政所霊」、 真ん中に「佛・法・僧・宝」の三宝印、左下に「高台禅寺」の朱印が押印されています。
また、同じ敷地内にある高台寺の鎮守社「高台寺天満宮」、礼拝聴聞室「高台寺利生堂」でも御朱印が授与されています。
「高台寺天満宮」の通年御朱印に記されているのは「夢」。天下人になる夢を叶えた豊臣秀吉にちなんで大切にされている言葉で、参拝者の夢が叶うようにという想いが込められています。
“死を恐れず、安心(心の安らぎ)を得るためにいのちをみつめていただく場所” として御釈迦様の涅槃堂「高台寺利生堂」は建立されました。 ここでいただける御朱印には「安心(あんじん)」と記されています。
高台寺のオリジナル御朱印帳は白と黒の2種類。モダンな雰囲気のあるシンプルなデザインが好評です。
高台寺では、他にも夜間特別拝観期間に授与される光る御朱印や、ロボット型の仏像「アンドロイド観音」の御朱印などユニークな試みをしているので、訪れた際に住職に気軽に尋ねてみてくださいね。
2.長い歴史を持つ古社の風格ある御朱印「八坂神社」
京都屈指の花街・祇園にある「八坂神社」は、794年の平安遷都以前より鎮座する古社です。江戸時代までは「祇園社」と呼ばれていたことから、今でも“祇園さん”という愛称で地元の人々に親しまれています。京都三大祭りの「祇園祭」は八坂神社の祭礼です。
主に厄除け・家内安全・縁結びのご利益が有名ですが、境内には複数の摂社と末社があり、様々な神様が祀られているため、多くのご利益を授かることができます。
御朱印は、直書き・書置きともに「奉拝」「祇園社」「参拝日」の墨書きと朱印、そして八坂神社の社紋「唐花木瓜紋」で構成されています。シンプルでありながら、風格を感じるデザインです。摂社や末社ごとに様々な御朱印が授与されているので、複数の神社をお参りして拝受するのもおすすめです。
平安神宮を中心として、東西南北に位置する八坂神社・松尾大社・城南宮・上賀茂神社を順に参拝する「京都五社めぐり」で御朱印を集めるのも楽しいですよ。八坂神社では、御朱印を押印するための「四神色紙」という専用台紙と朱印を授与しています。五社すべての御朱印を制覇すると、オリジナル記念品をもらえるので、ぜひ挑戦してみてください。
御朱印帳の定番人気は、八坂神社の社紋を中央に配した赤と白の2つ。
3.筆文字の美しさが引き立つシンプルな御朱印「平安神宮」
「平安神宮」は平安遷都1,100年を記念し、平安遷都の立役者である桓武天皇をご祭神として1895年に創建された神社。縁結びのパワースポットとしても人気で、国内外から多くの参拝者が訪れます。
平安神宮のシンボルと言えば、高さ約24.4mを誇る「大鳥居」。ほかにも「大極殿」や「應天門」といった数多くの重要文化財が建っています。
御朱印は直書き・書置きどちらも「奉拝」「平安神宮」「参拝日」の墨書きに朱印が押されたデザイン。シンプルだからこそ美しい達筆の文字が際立ちます。
2030年までは、創建130年を奉祝した特別限定御朱印をいただくことができます。
他にも、京都三大祭り「時代祭」などの催事にちなんだ限定御朱印もあるので、タイミングが合えばぜひ手に入れてくださいね。
平安神宮は八坂神社とともに「京都五社めぐり」に含まれるので、「四神色紙」と御朱印を授与しています。また、各方位を司る青龍・玄武・白虎・朱雀の四神を描いたオリジナル御朱印帳もあります。
かわいい!京都の寺の個性的な御朱印&御朱印帳
1. 季節の花々で華やかに彩られた押し花朱印「柳谷観音 楊谷寺」
眼病平癒のご利益があることで知られる古刹「柳谷観音 楊谷寺」。手水鉢に四季折々の花を浮かべた「花手水」発祥のお寺としても有名です。
京都屈指のあじさいの名所でもあり、毎年6月上旬~7月上旬頃は境内に約5,000株のあじさいが咲き誇ります。また、秋に特別公開される「上書院」も人気スポットの一つ。筆舌に尽くしがたい美しさです。
花々に囲まれた寺院というだけあって御朱印も華やか!ご本尊を記した通年御朱印のほかに、季節限定やご縁日限定などの様々な御朱印があります。
中でも大人気なのが、“より開かれた四季を感じる聖地”を目指して、2016年より始まった「押し花朱印」。平らにして乾燥させた生花を墨書きや朱印の周りに散りばめた色鮮やかな御朱印です。
毎月17日には、この押し花朱印を自分で作れる体験会が開催されます。道具と材料は一式用意されているので、手ぶら参加でOK。どんな押し花に出合えるかは参加当日までのお楽しみ。
毎月すぐに満員になるほどの人気イベントなので、気になる方は早めに予約(※)しておくことをおすすめします。
※事前予約制。開催前月18日~開催月14日12時までにお申込みください。
「紗綾形」と呼ばれる地紋の入った生地に色とりどりの刺しゅうをあしらった季節限定の「刺繍御朱印帳」も人気です。
2.空にかざして楽しむ切り絵御朱印「仁和寺」
京都を代表する桜の名所である「仁和寺」。中でも、約200本の桜の木が連なる「御室桜」は“遅咲きの桜”として知られ、他所で花が散り始める頃に満開を迎えます。
境内は、ひと際目を引く高さ約36.18mの「五重塔」をはじめ、「京都三大門」の一つ正門「二王門」などの荘厳な建築物があり、日本らしい絵になる風景を見ることができます。
仁和寺を訪れたら、「切り絵御朱印」をぜひ手に入れてください!
「切り絵」とは、一枚の紙を切り抜いて絵を象る伝統技法のこと。
紅葉や桜、建築物などを繊細に表現したデザインは年や季節によって変わり、毎回話題となります。いただいた御朱印を境内や空にかざして写真を撮るのがお約束。
御朱印帳は、表に「御室桜」、裏に「五重塔」が描かれた「御室桜ししゅう・ピンク色」と、表に「二王門」、裏に「五重塔」が描かれた「二王門ししゅう・紺色」が人気。
3.動物愛に溢れたかわいい限定御朱印「因幡堂 平等寺」
1003年に創建された古刹「因幡堂 平等寺」。本尊・薬師如来像は、ケガや病から守ってくれる仏様として知られ、日々参拝者が絶えません。
注目を集めているのが、 “病が飛び去るように”という無病息災の祈りを込めたかわいらしい鳥のお守り。中でも、“幸福が舞い込む=in 幸(こう)”という意味をかけたインコのお守りはなんと15種類以上も揃っています。
動物保護活動に取り組むなど、日頃から動物を大切にしている因幡堂 平等寺では、鳥だけでなく、猫や犬に関連したお守りも!“無病”をかけた「六猫(むびょう)守」や、“病気が去ぬ(いぬ)ように”という願いが込められた犬がモチーフの「いぬ守」が人気です。
御朱印にも動物愛が現れ、近頃話題となっているのが「特別切り絵御朱印」。動物の形に切り抜かれた色鮮やかな台紙に、厄除けや動物救済のご利益をいただけるとされる「馬頭観音」が記されています。およそ3ヵ月ごとに台紙の色が変わるのでお楽しみに。
他にも、「京都十三仏霊場めぐり」「京都十二薬師霊場めぐり」「洛陽三十三所観音霊場」の御朱印や、金運・財運の吉日とされる「甲子の日」限定の御朱印もいただくことができます。
御朱印帳は、猫や犬、インコなどが描かれたポップでかわいいデザインが評判です。干支モチーフの御朱印帳も毎年登場するのでお見逃しなく!
京都旅の思い出にも浸れる、御朱印&御朱印帳
「この神社は素敵だったなぁ」「この寺院は迫力があったなぁ」と、後で見返しながら思い出に浸れるのも御朱印集めの醍醐味。マナーを守れば、快く対応してくれる神社仏閣がほとんどなので、お参りとあわせて気軽に御朱印を集めてみてくださいね。