日本には、一年でもっとも月が美しいとされる季節に、月を愛でる「お月見」を行う文化があるのをご存知でしょうか？

寺社で行われるお月見の行事「観月祭」は、日本を訪れる旅行客の方にもその風流な文化を味わっていただける貴重な機会です。
この記事では、その観月祭の魅力をご紹介します！

観月祭は、中秋の名月（現代の暦では9月中旬～10月上旬、2023年は9月29日）にあわせて行われる神事のことです。平安時代に中国から伝わったとされ、1年を通して最も月が美しい時期に、月を眺めながら歌を詠んだり管弦を楽しんだりする、貴族社会の風流な遊びだったとされています。

自然界の美しい景物を表す日本語の「花鳥風月」という四字熟語にも名を連ねる”月”。心地良い風が吹き、虫の声が聴こえてくる秋の日に眺める月の美しさは、現代の日本人にとっても心を奪われる神秘的な魅力があります。

そんな観月祭が行われるのは、京都をはじめとした各地の寺社。その規模は様々ですが、中でも特に見応えがあり、日本を訪れる旅行客の方にもおすすめなのが、京都・大覚寺の「観月の夕べ」です。

1200年以上の歴史がある大覚寺は、嵐山・嵯峨野エリアの自然豊かな場所にあります。
境内にある大沢池（おおさわのいけ）は周囲約1キロメートルの広大な日本最古の人工池で、日本三大名月鑑賞地のひとつ。「観月の夕べ」はこの大沢池で行われ、平安時代の宮廷遊びを体感することができます。

「観月の夕べ」は年に一度、3日間のみと限られた期間の行事であるがゆえ、実は日本人でもまだ行ったことがないという人はとても多いです。

事前申込しておくと、まずは大沢池のほとりにある五大堂の観月台で、お抹茶を楽しむことができます。

観月台は、お月見のために設けられたお堂のバルコニーのようなもの。お月見専用の席をわざわざあつらえるとは、古来からお月見がいかに特別なものであったのかが、想像できます。

観月台は大沢池より少し高い位置にあるため、月と大沢池全体を見渡すことができます。その景色は感動の一言！

事前申込していた方はお抹茶を楽しんだ後、中国伝来の龍頭鷁首舟（りゅうとうげきしゅせん）に乗って、大沢池を遊覧することができます。

「観月の夕べ」の一番の楽しみ方は、この、舟に揺られながら月を眺めることにあります。

静かな池の上で、ちゃぷちゃぷと池の水の音だけが響く中、刻一刻と映り変わる空の色と、月の光。自然の神秘に心が震えます。

大沢池と、池を囲む周辺の山や木々は、まるで月を引き立てるために計算して配置されたかのように、見事に調和しています。日が沈んですぐの空も大変美しい！

美しいのは空の月だけではありません。
舟を降りて、池のほとりから大沢池を眺めてみましょう。水面が鏡になって、映り込んだ月の姿を捉えることができます。

水面に映り込んだ月は、風がなびくと揺らめいたり、天候によっては水面に光の筋が現れたり。自然が作り出す間接的な美しさにも、日本人の感性は揺さぶられます。

夜を迎えると、大沢池の上の池舞台に祭壇を設け、ここで満月法会が執り行われます。
お団子や、芋、豆などの野菜、お花を供え一山の僧侶が出仕して「月天」を招じ、農作物の 豊作と人々の幸せを祈願します。 
また法会終了後には、法話があります。

境内の散策であれば、拝観料を納めることで予約せずとも入場することが可能です（入場 制限を設ける場合あり）。 

五大堂観月席でのお抹茶と龍頭鷁首舟での大沢池遊覧は、セットで「特別チケット（5,000円）」を事前に申し込んだ方のみとなります。大覚寺のホームページから申込が可能で、キャンセルがあった場合は当日販売が行われます。

大覚寺公式ホームページはこちら

*2023年の申込は受付終了

舟に乗らずとも、会場の雰囲気は十分楽しむことができます。日本で古来から続く一年に一度の行事を、ぜひ体感してみてください！

もし行かれる場合は、日が暮れてくると冷え込む場合もありますので、一枚上着を持っていくと安心です。

大覚寺は、嵐山・嵯峨野エリアにあります。駅から少し離れているので、最寄り駅からバスに乗って向かうのが便利。

【阪急京都線・嵐山駅から】
駅前のバス乗り場から、京都市バスまたは京都バスに乗車して「大覚寺」停で下車（所要時間約12分）

【From Arashiyama Station on the Randen Line】
From the “Arashiyama Tenryuji-mae” stop, take Kyoto City Bus or Kyoto Bus and get off at the “Daikakuji” stop (about 9 to 11 minutes).

【From JR Saga-Arashiyama Station】
From the “Saga-Arashiyama Eki-mae” stop, take the Kyoto City Bus and get off at the “Daikakuji” stop (approx. 6 minutes).

【From Karasuma Station on the Hankyu Kyoto Line (Shijo Subway Station)】
From the “Shijo-Karasuma” stop, take the Kyoto City Bus and get off at the “Daikakuji” stop (46 minutes).

【From Saiin Station on the Hankyu Kyoto Line (Randen Saiin Station)】
From the “Nishioji-Shijo” stop, take the Kyoto City Bus and get off at the “Daikakuji” stop (about 33 minutes).

【From JR Kyoto Station】
From the “Kyoto Ekimae” stop, take the Kyoto City Bus and get off at the “Daikakuji” stop (about 54 minutes).

There are other temples and shrines in Kyoto that hold Kangetsusai. Each temple or shrine offers different events, such as dedication of Gagaku (traditional Japanese court music) that can be viewed by the general public, and matcha (powdered green tea) ceremonies, so please check the website of each temple or shrine for details.

Friday-Sunday, September 8-30, 2023, 17:00-17:30 reception
8,000 yen (including thin tea ceremony, guided tour of the temple, and dim sum)
*Reservations required by 16:00 the day before.

Friday, September 29, 2023, 19:00 – 21:00 approx.
Dedication of the recitation of the dedication poem and the dedication of the bugaku dance: 19:00- (free of charge for participation and observation)

September 29, 2023 (Fri.) 17:00- Kagura (Shinto music and dance) and Japanese drum performances, etc.
[Tsukimi Dango Distribution] 300 people on a first-come, first-served basis (numbered tickets will be distributed from 16:00)

Friday, September 29, 2023, 17:30 – 21:00 approx.
Free of charge (1,000 yen for tea ceremony)
[Dedication of Koto, Shakuhachi, Gagaku, and Heian aristocratic dances] from around 19:00 (free admission)

Friday, September 29, 2023 from 18:30
Free (500 yen for matcha tea ceremony)

If you are planning to visit Japan in the fall, why not experience the elegant Japanese culture on a trip to Kyoto?