「神戸六甲ミーツ・アート」は、毎年8月下旬~11月下旬にかけて神戸・六甲山上で開催される現代アートの芸術祭です。山の上までのアクセス、服装やおすすめスポットまで、芸術祭の作品を効率的かつ満足に鑑賞する方法をお伝えします。
1. 大阪から約1時間。神戸にある「六甲山」とは?
兵庫県南東部、神戸市・芦屋市・西宮市・宝塚市にまたがる大小の山々を含んだ地域を六甲山系と呼びます。その六甲山系の最高峰が標高931mある「六甲山」です。都市部の近郊でありながら豊かな自然が広がり、自然環境を利用した観光体験ができることが最大の魅力です。
六甲山についてさらに詳しく知りたい方はこちら
六甲山は、神戸三宮からも、大阪梅田からも、アクセスが便利です。阪急電鉄六甲駅、JR六甲道駅、阪神電鉄御影駅のいずれかで降り、駅前から神戸市バス「16」系統または「106」系統に乗り、六甲山の玄関口「六甲ケーブル下」駅へ。六甲ケーブルで山上まではわずか10分です。
六甲山の近くには「日本三名泉」の1つ、有馬温泉がありますので、六甲山訪問の前後に温泉観光を組み込む行程がおすすめです。
2.「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」とは?
「神戸六甲ミーツ・アート」は、神戸・六甲山上に展示されるアート作品を、ハイキング気分で周遊しながら楽しむ現代アートの芸術祭です。今回で16回目となり、これまでより会期を延長し計100日間開催します。
会期:2025年8月23日(土)~11月30日(日)
開催時間 : 10:00-17:00 (会場により一部異なる)
※会期中無休。ただし六甲山サイレンスリゾートのみ8月~10月の毎週月曜、及び11月4日は休業(月曜・祝日の場合は火曜に振替休日)
会場:ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、六甲ガーデンテラスエリア、風の教会エリア など
「神戸六甲ミーツ・アート」に行ってみたいという方は、作品鑑賞パスポートやお得な乗車券を購入できます。
作品鑑賞パスポートを購入すると、5つの有料施設(ミュージアムエリア・天覧台・風の教会エリア・トレイルエリア・みよし観音エリア)に各施設でチケットを買うよりもお得に入場ができます。作品鑑賞パスポートは、六甲山上駅構内ショップ737 六甲遊山案内処や事前にWEBでも購入可能です。
●大人(13歳以上)3,000円
●小人(4歳~12歳)1,200円
9/20~11/30の土日祝の夜間は、ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園で「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」というライトアップイベントが開催されます。夜パス付は料金が異なります。
●大人(13歳以上)4,000円
●小人(4歳~12歳)1,700円
また、乗車券でおすすめしたいのが、六甲ケーブルと六甲山上バスの乗車券がセットになった東六甲周遊乗車券です。各施設を周るためバスの乗り降りが多くなりますので、こちらのチケットを買っておけば、小銭不要で何度も乗り降りができ、料金もお得です。六甲ケーブル下駅でしか購入できませんので、買い忘れがないように気を付けましょう。
●大人(13歳以上) 2,300円
●小人(6歳~12歳) 1,150円
このほか、神戸市バス+ケーブル+六甲山上バスがセットで2400円のお得な六甲山ツーリストパスもあります。
六甲山ツーリストパスの購入はこちら
3. 「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」の六甲山上の会場の周り方
山上の各会場をつなぐ「六甲山上バス」が運行しています。バスの時刻表は各バス停のほか、現地で配布されているMAPにも記載があります。本数が多くないエリアもありますので、バスの時刻をチェックして滞在時間を決めることをおすすめします。バスの時間を考えるのが大変だという方は、モデルコースを参考に周ってみてください。
山上バスはクレジットカードは利用可能ですが、ICカードの利用ができません。小銭が必要となりますので、面倒だなという方は「六甲山上バス1DAYチケット」の購入をおすすめします。六甲ケーブル山上駅で購入が可能です。
●大人(13歳以上) 800円
●小人(6歳~12歳)400円
4. 「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」おすすめの服装と持ち物
六甲山上は麓より約5度涼しいです。暑い8月から9月上旬は大丈夫ですが、9月中旬以降は羽織ものを1枚持っていると安心ですし、山の天候は変わりやすいため、脱ぎ着しやすい服装をおすすめします。また、自然の中での鑑賞となるため、蜂や虫に出会うこともあります。蜂が好む黒い服装は避けていくほうが無難です。
また、トレイルエリアは林道を歩き、各施設内も坂道や歩きづらい道が一部ありますので、スニーカー等の歩きやすいお靴でお越しください。かばんも両手を開けることができるリュック等が楽です。
5. 「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」各エリアのおすすめ作品と所要時間
神戸六甲ミーツ・アート2025 beyondの9つの会場についてご紹介します。 筆者の特におすすめするの会場は、(4) ROKKO森の音ミュージアム、(5) 六甲高山植物園、(9) 風の教会エリアです。
ぜひ参考にしてお気に入りの会場を巡ってみてください。
(1) 六甲ケーブル (六甲ケーブル下駅・山上駅)、天覧台
六甲ケーブル上駅の階段をあがってすぐ、天覧台で展示されているタイ人アーティスト ナウィン・ラワンチャイクン+ナウィン・プロダクション≪神戸ワーラー≫。
インドやその周辺地域では、「○○ワーラー」という言葉を名詞の語尾につけることで、特定の仕事や役割を担う人を表すそうです。例えば、「チャイワーラー」はお茶売り。「神戸ワーラー」という言葉には、アーティスト自身のルーツと、多文化が共生する神戸とのつながりが込められています。
作品越しに見える神戸の街並みも素敵です。
また、六甲ケーブル山上駅には、須田悦弘≪ササユリ≫, ≪ノブドウ≫, ≪リンドウ≫が展示されています。小さな作品ですので、見逃さないように探してみてくださいね。
鑑賞時間の目安:10分~15分(ケーブルや山上バスの待ち時間で鑑賞できます)
天覧台単館券:大人(13歳以上)500円、小人(4歳~12歳)200円
(2) 兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)
こちらのエリアには2つの作品が展示されていて、こちらの作品は岡留優≪別荘≫です。パフォーマンスを軸とした表現を行っているアーティストで、作品は定期的にライブ配信されるそうです。別荘内にいる作者本人はとってもよく似ています。
鑑賞時間の目安:15~20分
(3) 六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)
作品が展示されているのは、本館から道を隔てたレストラン「空のダイニング」の店内です。作品鑑賞のみの入店も可能ですが、せっかくの機会ですので、作品がある空間でお食事をとるのもおすすめです。
鑑賞時間の目安:20分
(4) ROKKO森の音ミュージアム
ROKKO森の音ミュージアムは、今年のミュージアムエリアの会場の1つになります。
「SIKIガーデン~音の散策路~」には、2025年のビジュアルに選ばれた奈良美智≪Peace Head≫が展示されています。こちらの作品には、「傲慢になりがちな人間は、より大きな存在である自然の中の一部である」というメッセージが込められています。六甲山の自然、作品の前に立ち、私たちは自然の中の一部であるということを感じましょう。こちらの作品は、六甲山のシンボルとして常設展示が決定しています。
また、SIKIガーデン奥の「野外アートゾーン」には、写真の船井美佐≪森を覗く 山の穴≫ など、長期展示のアート作品9つが展示されています。
※展示期間は作品により異なります。
このほか、SIKIガーデン内を点在するように作品があり、ハンモックエリアやツリーハウス等、作品以外にも六甲山の自然を楽しめる場所がたくさんあります。
鑑賞時間の目安:45~90分
単館券:大人(13歳以上)1,500円、小人(4歳~12歳)750円
ROKKO森の音ミュージアムに入る手前、駐車場横の新池では、2023年 昨年から継続して川俣 正≪六甲の浮橋とテラス Extend 沈下橋2025≫が展示されています。今年は沈下橋が長くなり、テラスを一巡する沈下橋が完成しました。トレイルエリアを踏破する自信がない方でも、こちらの作品は駐車場から歩いて1分ほどの場所にありますので、ご覧いただくことができます。
※新池は、ミュージアムエリアの1つの会場になります。
(5) 六甲高山植物園
六甲高山植物園は、今年のミュージアムエリアのもう1つの会場になります。
東入口を下ってすぐのところに展示されているのは、鍵井靖章≪懐と海≫です。山の中で、大きな水中写真に出会うという不思議な体験。
Winter/Hoerbelt(ヴィンター/ホルベルト)≪Embodiment of Banality(ありきたりさの現れ)≫は、中に入ってブランコの体験ができる作品です。
この他にも作品がありますので、高山植物園の季節の草花を楽しみながら園内を散策してみてください。
鑑賞時間の目安:40~60分
単館券:大人(13歳以上)900円、小人(4歳~12歳)450円
(6) トレイルエリア(バンノ山荘・MOWA)
2023年から新設されたトレイルエリアは、自然の中を徒歩で作品を見ながら歩いていくエリアです。途中、お手洗いがありませんので事前に済ませて、飲み物も準備してからエリアへ入りましょう。街灯が少ないエリアのため、早い時間に周ってしまうことをおすすめします。
林廻(rinne)≪BED≫の作品に使われているのは、すべて間伐材。放置林の問題を解決したい、生態系のバランスが崩れているということを考えさせる作品です。会期中は、屋外に置かれるので会期の最初と最後では違った姿が見られるかもしれません。
鑑賞時間の目安:60~140分(歩くスピードによって時間が異なります)
単館券(バンノ山荘・MOWA):大人(13歳以上)500円、小人(4歳~12歳)200円
(7) 六甲ガーデンテラスエリア
六甲ガーデンテラスエリアは、レストランが3つ、昼食やお土産の買い物にも便利な拠点となっています。
鑑賞時間の目安:10~15分
神戸だけでなく、大阪まで見渡す眺望が魅力の見晴らしのテラスに展示されているのは、白水ロコ≪山の精霊たち≫です。六甲山のパノラマを背景に3点の作品が展示されています。
鑑賞パスポートからは外れますが、自然体感展望台六甲枝垂れ「シダレミュージアム」も、ぜひ訪れていただきたいスポットです。
自然体感展望台六甲枝垂れ「シダレミュージアム」
●大人(13歳以上) 1,000円
●小人(4歳~12歳) 500円
鑑賞時間の目安:30分
(8) みよし観音エリア
六甲全山縦走路の途中に位置する場所で、静かな森林の中にある展示会場から一歩外に出ると目の前に眺望が開けます。6つの作品を楽しむことができます。
六甲ガーデンテラスエリアから徒歩10分、六甲高山植物園の東入口から徒歩5分です。
鑑賞時間の目安:30分
単館券:大人(13歳以上)800円、小人(4歳~12歳)300円
(9) 風の教会エリア(風の教会・六甲山芸術センター・旧六甲スカイヴィラ)
絶対に見逃したくない作品の1つが、安藤忠雄建築 「風の教会」で展開される岩崎貴宏≪Floating Lanterns≫です。「風の教会」は、建築家安藤忠雄氏が設計を手がけた「水の教会」「光の教会」と並ぶ「教会三部作」の一つに数えられる教会です。
建物までのアプローチが素敵です。
教会の中に展示されているのは、岩崎貴宏≪Floating Lanterns≫です。震災や戦争などで失われた建築の記憶から構成された、無数の建築模型が静かに浮かんでいる作品です。
他、近くにある六甲山芸術センターでは8作品、旧六甲スカイヴィラでは5作品の鑑賞ができます。
風の教会へは、3系統(風の教会回り)のバスでアクセスが可能です。バスの本数が少なく、1時間に1本もない時間帯もあるため、時刻表をチェックしていくことをおすすめします。
鑑賞時間の目安:90~120分
6.「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」のモデルコース
最後に、バスの乗り継ぎを考えるのが大変、行ってみたいけどアクセスがネックという方のために、山上のモデルルートをご案内します。
<START>
六甲ケーブル山上駅(12:35発)
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六甲ガーデンテラス(12:44着/13:55発)
ランチもこちらで済ませましょう。
↓
森の音ミュージアム(13:58着/15:00発)
↓
徒歩移動 約5分
↓
六甲高山植物園(15:05着/16:03発)
お疲れの方は、Caféやハンモックでゆっくり過ごすのもおすすめです。
↓
風の教会(16:06着/16:46発)
9月20日〜11月30日の土日祝は、「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」を開催しているので、風の教会(17:09発)に乗車して、高山植物園に戻り、夜のイベントを楽しむこともおすすめです。
↓
六甲山上駅(16:50着)
六甲山上駅から六甲ケーブルにて、ケーブル下へ降りた後は、神戸市バスに乗り換えて阪急六甲駅へ。神戸三宮駅まで約10分、大阪梅田まで約30分です。
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7. 「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」食事場所のおすすめ
会場内のレストランやカフェでは、芸術祭期間限定のメニューが登場します。六甲山ならではの食材を楽しむことができます。
(1) 六甲山サイレンスリゾート 空のダイニング
大阪と神戸を一望できるダイニングです。ランチはコースが中心となりますので、ゆっくりとお時間がとれる方におすすめします。また、20時まで(最終入店時間は19時)営業をしていますので、観光後の夕食としても利用可能です。
(2) ROKKO森の音ミュージアム 森のCafé
ROKKO森の音ミュージアム内にあるカフェで、セミセルフ式のワンプレートランチやカフェメニューを提供しています。お外にも席がありますので、天気の良い日はテラス席で食べると気持ちが良いです。
百日鶏のつくねバーガー(ポテトチップ、スープ付)1,760円(税込)
芸術祭期間限定メニュー!甘くて深いコクがある「播州百日鶏」を使った、つくねパテを使用したボリューム満点の和風バーガーです。
他に、園内には360度透明の「SIKIドーム」を貸切でご利用いただけるランチ付きの予約プランもあります。ROKKO森の音ミュージアムでゆっくりと過ごしたい方にはおすすめのプランです。
SIKIドーム予約プランの詳細はこちら
(3) 六甲高山植物園 山小屋カフェエーデルワイス
六甲高山植物園には、出入口が2か所あり、山小屋カフェエーデルワイスは東口の近くにあります。植物園の木々を見下ろせるテラス席がおすすめです。
(4) 六甲ガーデンテラスエリア 六甲ビューパレス
セミセルフ形式レストランで、カレーライスやハンバーグ、シチューなどのカジュアルな洋食メニューが楽しめます。窓際のお席からは、神戸の街並みを見下ろすことができます。
(5) 六甲ガーデンテラスエリア 六甲山ジンギスカンパレス
日本人の方は、六甲山といえばジンギスカンという方も多いのではないでしょうか。古くからの六甲山名物です。ジンギスカンを食べながら、山からの景色を満喫しましょう。
(6) 六甲ガーデンテラスエリア グラニットカフェ
旬の食材を使ったシェフ特製の料理やスイーツを提供するカフェです。六甲山のはちみつ「やまみつ」を使用したカレーやハンバーグが味わえます。
8. 「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」お土産のおすすめ
神戸六甲ミーツ・アートのオリジナルグッズが、会場内の5か所のショップで購入可能です。
・六甲遊山案内処 ショップ737
・ミュージアムショップ時音
・ショップ アルピコラ
・オフィシャルアートショップ ホルティ
・六甲おみやげ館
おすすめは、六甲ガーデンテラスエリアにある「オフィシャルアートショップ ホルティ」。2階建ての広い店内でオリジナルグッズから六甲山のさまざまなグッズまで購入が可能です。10月1日から図録も販売される予定なので、お見逃しなく!
美しい六甲山の自然とともに楽しめる秋だけのイベントです。作品は毎年変わりますので、ぜひ毎年の秋のイベントとして訪れてみてください。